2007.03.13
夕張市が夕張市立総合病院を26日から31日まで休診
『夕張市は四月から民営診療所となる夕張市立総合病院について、二十六日から三十一日まで外来、夜間診療、救急を含め全面休診すると発表した。移行準備などのためとしているが とんでもない』
(夕張市立総合病院 経営アドバイザー 長隆)
3月9日 NHK・朝日新聞・北海道新聞で1週間休診が報道され、大変驚いた。早速後藤市長・道庁に緊急連絡し、当然休診しないことになった。
3月末までは病院なので、1日70人以上来ている外来を村上医師の意に反して、強引に休診決定したことは極めて遺憾である。
病院の廃止届けも出さず、かつ1月以上の十分な予告期間も設けず、かつ正当理由がないにも拘わらず、法令違反を犯そうとした責任は重大である。
患者を無視の方針に直接・間接関与した人物は処断されるべきである。
マスコミも淡々と報道しているが、おかしいと思う記者はいなかったのか、情けない。
以下、「医事法講義案 医師の権利と義務」非常勤講師 武冨章 著(1998年10月2日)より引用§3 医師の義務
3.1 診療義務・応召義務医師法19条1項
「診療に従事する医師は,診察治療の求めがあった場合には,正当な事由がなければ,これを拒んではならない」
診療を拒否しても医師法による処罰規定はなく,したがって医師法上は罪とならない。診療義務は公法上の義務(国に対して負う義務)だから,私法上の義務(患者に対して負う義務)ではなく,患者が診療を受けられるのは医師のこの公法上の義務から生ずる反射的利益によると解されている。
「診療に従事する医師」とは,自宅開業の医師はもとより,一般の病院や診療所等に勤務して,公衆である不特定多数の人に対して,実際に診療に従事している医師を指す。
「正当な事由がある場合」とは,医師が旅行中で不在であるとか,病臥中で実際に診療が不可能であるとか,その他これに準ずる場合,言い換えれば,健全な常識ないし社会通念に照らして,一般に妥当とされ,やむを得ないと認められる場合を意味する。したがって,患者の再三の求めがあるにもかかわらず,単に気が進まないとか,軽度の疲労があるとか,あるいは,散歩などのため,呼べばすぐ戻りうる程度の所に外出中であるといったような理由で,診療の求めを拒否することは許されず,これらは,いわゆる正当の事由に該当しないことになるし,単に従前の診療費の不払いというようなことも,正当な事由にならないわけである。しかし抽象的,一般的にのみ,この「正当な事由」の有無を論ずることは危険であり許されないものといわなければならない。なぜならそれは具体的事情に即して判断すべき事実問題に属するからであり,一律に論ずることは妥当でないからである。結局それは,医師の職責と患者の病気の種類,容態,診療の求めがあった時間,交通事情その他の具体的事情を総合的に勘案し,社会通念ないし医師の良識によって判断されるべき事柄であるということになる。ここに例をあげてみると,1)医療報酬が不払であっても直ちにこれを理由として診療を拒むことはできない。
2)診療時間を制限している場合であってもこれを理由として急を要する患者の診療を拒むことは許されない。
3)特定人たとえば特定の場所に勤務する人々のみの診療に従事する医師であっても,緊急の治療を要する患者がある場合においては,その近辺に他の診療に従事する医師がいない場合には,やはり診療の求めに応じなければならない。
4)天候の不良等も,事実上往診の不可能な場合を除いて診療の求めに応じなければならない。
5)医師が自己の標榜する診療科名以外の診療科に属する疾病について診療を求められた場合も,医師が自分の専門外の領域であることなどを理由に診療を拒否した場合,患者がこれを了承すれば,一応正当の理由と認め得るが,了承しないで依然診療を求めるときは,応急の措置その他のことをしなければならない。・診療義務に違反した医師の責任
医師に応招義務違反の事実があっても,これを処罰し刑事責任を追及することはできない。現行医師法には,罰則が設けられていないからである。民事責任については問題があるが,診療の拒絶と患者について発生した損害との間に存在する因果関係を証明することは困難であろう。しかし,近年,次にあげるような判例もあり,要注意。
・病院間の「たらい回し」が問題になった事件(千葉地裁昭和61年7月15日判決)
小児科専門医のいる総合病院が幼児の救急患者の入院診療を拒否したことに,医師法19条の正当な理由がないとして,医療機関が敗訴。
・第三次救急医療機関における診療拒否(神戸地裁平成4年6月30日判決)
神戸市須磨区で交通事故にあった患者さんが夕方,事故現場から100mほどのA病院に救急車でかつぎ込まれた。A病院の医師は救急車で両側肺挫傷,右気管支中間幹断裂であり,第三次救急患者であると診断し,同院では扱える状態ではないということで,すぐ救急隊員から神戸市消防局管制室を通じて連絡を取り,公立の被告B病院に受け入れの可能性があるかどうかを打診。B病院は,「今夜は整形外科も脳外科もありません。遠いし,こちらでは取れません」と応答した。同病院は,確かにそのように応答したが断ったわけではないと主張したが,判決は,客観的にみて,拒否したものといわざるをえないと認定。管制室は次にC病院に連絡を取ったところ,手術中でだめだと言われ,今度は東隣りの西宮市のD病院に依頼したところ,受け入れられ,約30分後にD病院に収容され,夜間から夜明けにかけて手術が行われたが,結局亡くなった。判決は「患者は,医師が正当な理由を有さない限りその求めた診療を拒否されることがなく診察を受け得るとの法的利益を有する」のであり,この利益侵害による精神的苦痛に対する慰藉料として,150万円の損害賠償を認めた。医師法19条は個人である医師を対象とした条文ではあるが,その法理は病院のような組織体に及ぶとした点,応召義務違反があり,かつ結果として患者に損害が与えられたときは「過失の一応の推定がある」とした点に注意。

