2005.06.17
「医療制度改革の基本的な方向性」への提言4
2005年6月17日Japan Medicine
寄稿
「医療法人制度改革の基本的な方向性」への提言4
東日本税理士法人
会計士補 長 英一郎
認定医療法人の代表訴訟
名目社員に認めるべきでない
◆厚生労働省の意見◆ 社員による代表訴訟制度
○医療法人の利益が役員の私益な行動によって害されることを防ぐため、社団医療法人の社員による役員に対する代表訴訟制度を、公益法人の改革を例にしながら検討するものとする。その際、濫訴防止の観点から、代表訴訟の制限に関する規定についても同様に 検討するものとする。
◆筆者の見解◆
濫訴防止の観点から、少額出資社員、0円出資社員、継続保有期間の乏しい社員には代表訴訟の権限を認めるべきではない。
代表訴訟制度とは、理事の任務違反により法人に損害を与え、法人が理事に対して責任追及をしない場合に、社員が法人に代わって理事に対して責任追及する制度である。
理事が法人に対し責任を負う場合には、法人が責任を追及するべきであるが、実際にはその責任が追及されない場合がある。そこで、法人が理事に対する責任追及を怠っている場合には、社員が法人に代わって責任追及することができるとしたものである(図参照)。
株式会社では、6ヶ月前より引き続き株式を有する株主は、会社に対し書面により取締役の責任を追及する訴えの提起を請求することができる(商法第267条1項)とされ、濫訴防止の観点から6ヶ月以前から株主であることが必要であるとされている。医療法人では、株式会社と異なり社員の定数を確保するため、形式的に0円出資の社員が入社することがある。医療法人設立の事前審査の際には、社員全員が出資するようにという指導を受ける場合があり、院長以外の社員が形式上の少額な出資をしてしまうことがある。
各目的に入社した0円出資社員、少額出資社員には代表訴訟の権限を認めるべきではない。法人を代表して理事の責任を適正に追及することが期待できないからである。
保有目的についても、医療法人は株式会社と異なり、通常長期支配のみを目的としている。継続保有期間については、6ヶ月という短期ではなく、2?3年の期間は必要であろう。
また、医療法人のモデル定款によれば、理事は社員総会において社員の中から選任することを原則としており、通常、所有と経営の分離が図られていない。所有と経営の分離を明確にしなければ、社員から理事に対する代表訴訟制度も形骸化すると思われる。

