2005.08.08
医療法人改革への疑問に答える〈下〉
2005年(平成17年)8月5日 Japan Medicine
医療法人改革への疑問に答える〈下〉
東日本税理士法人
前回に引き続き、医療法人改革の議論の中で挙がった疑問点に対する東日本税理士法人の見解を紹介する。
【疑問3】
新制度によって個人診療所が医療法人になることに二の足を踏むのではないか?
【回答3】
一人医師医療法人創設時の昭和60年の議員立法の主旨はつぎの通りであった。
1診療所・病院の法人設立認可が著しく困難であった昭和30年代の10年間、東京都は1件も法人設立認可しなかったという極端な例もあった。後継者が医師資格を取得するまで、故人の妻が理事長になれることにして廃院を回避し、地域医療の確保と従業員の職場を守ることに重要な意味があった。
2社会保険診療報酬事業税課税問題を阻止できない場合に備えて、課税標準をゼロとすることによって、診療所の課税をゼロにしようとすることに有益性があると考えた。
3営利法人と同様の税務上の恩典である退職金や生命保険料の損金計上が認められることなどを目的とした。
4MS法人を活用することは好ましくない。
5税率差については、給料のシミュレーションの結果、有利・不利のいずれかになり得るので、これが根底にあるということではない。法人留保して解散時課税を受けることも併せて試算する必要があるので、軽減の判断は現行法でも即断できない。
結論として、新制度によって一人医師医療法人の普及に影響を与えないと考えられる。
業績比準の適切な報酬や退職金などによって、改正後も今までどおりメリットを受けられる。個人診療所も今後、同様の法人化の動きは変わらないと推測している。
【疑問4】
既存の法人と新設の法人で差別が起こるのではないか?
【回答4】
土地の含み益を法人に移転させないなどのスキームを考えれば、既存と新設に差別が起きることは考えられない。
現在、医療法人は税引後利益を法人に留保でき、払戻しができる。新設の出資額限度法人は、経常収入が経営支出を上回るのであれば、役員報酬などとして支払い、個人に毎年利益留保することが認められる。
医療法は、税に責任を持つものでないし、選択による責任は医療機関側にあり、税務上不利にならない様にすることは可能である。
【疑問5】
経過措置を設けると、永遠に既存の法人が残ってしまうのではないか?
【回答5】
経過措置は、時限立法になるべきだという前提のようであるが、次のとおりの法文構成にならざるを得ない。
(医療法附則)
改正後の医療法(以下「新法」という。)の規定は、平成○年○月○日以降に設立される医療法人において適用し、平成○年○月○日以前に設立された医療法人については、なお従前の例による。
